遠い街からポツリと。

学習塾に身を置く身の人間が日々思うこと。

作文

私が勤める塾は英数メインの個別指導塾。

その中にオプション講座として、小学生にのみグループ指導の国語講座がある。私の担当。

 

月に一冊、指定の本を読みながら読解力や記述力を高めるもの。お堅い授業というより、グループならではの「楽しみながら学ぶ国語」といったところ。

この講座の良いところは、読書習慣はもとより、小学生のうちから「書く」ことに慣れる、抵抗がなくなるところ。「 この登場人物はなぜそう思ったのか、本の言葉を使って答える」「自分はどちらの意見に賛成か理由を述べる」「オススメの本を紹介する」「読書感想文」など、考えや思いを文字化する経験を積む。

始めこそ、何を書けば良いかわからず、鉛筆を持つ手が止まっていたり、文として全く成立していなかったり。それが回を重ねていく毎に、決してテクニックのある文ではないけれど、稚拙ながらも小学生らしいイキイキとした文章が書けるようになるのだ。例えそれが宿題の物であっても、書いている時の表情や息づかいまでをも感じられるような。

また、人前で意見を述べる自信、反対に人の意見を聞く姿勢を持つ ということも狙いの一つ。

 

「子供達の文章は必ず目を通して花マルを付ける」という決まりがあるのだが、私は添削というより手紙の返事に近い、あるいは交換日記のようなコメントをできるだけ沢山つけるよう心掛けている。

どんなに殴り書きの文であっても、全てに書き手の名前を添えて(◯◯くんはどうかな?など)対話形式で。

それはグループ指導の授業で唯一、1対1で向き合えるツールだから。

それを子供達は楽しみにしてくれているし、気に入ったこちらのフレーズを自分で使ってみる子もいる。中でも「◯◯ちゃんのこの文章、リズムがいいね!」は小学生に人気。

夏休みや冬休みには、読書感想文を2冊分、場面場面やいろんな登場人に焦点を当てて、各本50枚ずつ計100枚を書き上げる…なんてことは珍しくない。

みんな学力的にはごくごく普通。中には学校の授業に追い付けない小学生も。

それでも彼等は「書く」という作業に恐れがないことは確か。

中学・高校での学校教育や新しい大学入試制度において、この経験が少しでも力になることを期待している。

 

明日に控えた公立高校入試。

国語では作文がある。260〜300文字の短い指定。中3生は、これがなかなか書けない!

事前に行う作文対策でも「何を書けばいいかわからない」と白紙、書くべき事(お題)に沿っていない、またはズレたまとめ、まるで箇条書きの文章…。国語講座に在籍する小学生と比べようもない。

しかし、公立高校入試において、この作文は配点が大きく侮れない。

 

兎にも角にも、指定文字数の8割は埋めてね!

せめて小学校で習った漢字は使って!

問われている内容について書くんだよ!

取り敢えず、書いたら読み直してみて!

 

今更ながら伝えたいことは溢れてくる。

 

カッコいい文章でなくても構わない。上手くまとめ切れていなくても大丈夫。

自分らしく、あなた達の人柄が透けて見えるような、そんな文章を自信を持って書き切って来てね‼︎